ベッドの有効性と危険性
背上げ・膝上げ編
●背上げ機能は起き上がり補助機能
モーターの力で0度から70度まで背を起こす事ができ、任意の角度で止めることができます。下記のような方々に対して有効的な機能です。
1.筋力が衰え、自力で起き上がることが困難な人
横に寝た状態が続くと、全身の筋力が低下し、歩行能力も低下します。また、心肺機能の低下も発生しやすくなります。これにより立ち上がったときに低血圧(起立性低血圧)となり転倒し易くなります。
日々、背上げ状態を作ることで心臓への負荷も増し、心肺機能の低下を抑制します。
2.血圧が高い人、低い人
普段から血圧が高く、筋力が大きく低下した人や脳梗塞等により半身麻痺のある人が右の写真のように自力で無理に起き上がると血圧が200mmHgを超える場合があり危険です。電動の背上げ機能を是非、お使い下さい。
※早朝に血圧が高くなる「早朝血圧症」や「起立性低血圧」の人は、少しづつ背上げをすることで楽に、かつ安全に起き上がれます。
3.腰痛の人
右の写真のように背や膝の角度を数度上げると、腰がマットレスと密着し体圧分散が良くなり、腰痛の緩和や床ずれ予防にも効果が期待できます。
※一般的に床ずれが発症している方は背を45度以上に起こすと患部に良くないとも言われてます。詳しくは担当医師にご相談下さい。
4.食べ物をうまく飲み込めない人(嚥下障害/えんげしょうがい)

背を起こした状態やベッドに座らせて少量づつゆっくりと食事をすることで飲み込みやすくなります。食事の後もしばらくは背上げ状態にして胃からの逆流を抑えることが出来ます。
※寝た状態で食事をすると、うまく飲み込めず食べ物が肺に入り「誤嚥性肺炎/ごえんせいはいえん」を起こす原因にもなり非常に危険です。
5.介護をする人の腰痛対策
寝ている方の背を起こすだけでも相当の力が必要で、 無理な姿勢で背上げ補助を行うと腰痛のもとになります。
※介護従事者の腰痛発症率は他業種に比べ高いという厚生労働省の指摘もあります。無理な姿勢での介護には十分ご注意下さい。
背上げ時の注意事項!!
●背圧に注意
自分で体を動かすことが困難な人を電動で背上げした場合、背中全体に圧がかかる「背圧」という現象が起きます。
自分で体を動かすことのできない人にとっては、非常につらく、痛みも生じ、場合により呼吸困難に陥ります。
よって、背を上げる途中、背上げ終了時に体をマットレスから離す行為(背抜き)を行い背圧を除くことが必要です。
○介護保険レンタル対応ベッド「ミオレット」と施設対応ベッド「アルティレット」の背上げ機能付きベッドでは、バックオフ機構など独自の機構により約60度から腰の圧迫が減り、70度前後では肩付近のみ背圧が残ります。よって、肩の裏に手を入れるだけでも簡単に背抜きが可能です。
※背圧は体験できます。
寝た状態の0度から最大角度の70度にする間に体を一切動かさない様にするだけです。是非、痛みの度合いを体感しておきましょう。
●横倒れに注意
介護度が高いなど自分で体を保持できず、横に倒れてしまう人は、最大角度(70度)まで上げず、保持できる角度(30-45度)に設定して下さい。
※右の写真のように首や頭部がレールにあたり、頚動脈や気道を圧迫するなど大きな事故の原因になります。
また、横倒れによるベッドからの転落を予防するため、「ロングサイドレールBG-96J」か「ベッド用グリップ」の装着をお薦めします。
※背上げ機能はプラッツの全シリーズにあります。
※自立支援ベッド「ケアレットシリーズ」のベッドは、標準付属のレールのみ搭載可能で、ベッド用グリップやロングサイドレールの搭載はできません。
●足上げ機能
糖尿病や心臓病などが原因で足の血管が細くなったり、血の流れが悪化した人が、長時間座った状態を続けると足に向かった血が上がりづらくなり、うっ血した状態になります。この様な時は足を上げて横になることで、うっ血状態を緩和することができます。
※うっ血状態が続くと右の写真のように静脈瘤や動脈が詰まるなどの原因にもなりますので注意が必要です。
※足上げのみ単独で調整できるベッドは、介護保険レンタル対応ベッド「ミオレットシリーズ」、施設対応ベッド「アルティレットシリーズ」の3モータータイプとなります。
昇降編
●昇降機能(ベッドの上下動)
昇降機能付きベッドは、モーターの力でベッドを上下させる事ができます。下記のような方々に対して有効的な機能です。
1.筋力が衰え自力で立つ事に不安がある人、困難な人
左の写真のように、低すぎる状態から立ち上がるには筋力が必要で、片麻痺の人の場合は転倒の危険性もあります。足の長さからやや高い位置にベッドを上げることで楽に立つことができます。

※自力で立てない人を無理に立たせると、転倒の危険性もあります。車いすを有効に使いましょう。
2.腰痛、リウマチの人
立ち上がりやすい高さに調節することで、膝や腰への負担を大幅に軽減でき、痛みの発生を緩和できます。
3.血圧が低い人・高い人
血圧が低い方が、急に立ち上がると貧血により倒れることもありますが、ベッドの昇降機能を使い、少しずつ、ゆっくりと立つことで転倒の危険性を軽減できます。背上げ機能と併用してお使い下さい。
※睡眠薬や睡眠導入剤を服用した後に立ち上がったり、歩いたりすると転倒の危険度が高くなり非常に危険です。事故も多発してます。必ず医師の指導に従い、服用後は定められた時間内はベッドで横になり、決して歩かないようにして下さい。
4.介護する人の腰痛対策
背上げ同様、座っている人を立ち上がらせるだけでも相当の力が必要で、介助をする人が腰痛になる事もあります。適度な高さにすることで「安全かつ楽に」立ち上がらせることができます。福祉用具を有効に使い「安全で楽な介護」をして下さい。
●昇降機能のその他の使い方
1.端座位(たんざい)
寝た状態が続くと「平衡感覚の低下」「筋力の低下」や「昼夜の感覚が鈍り、夜の徘徊」などが起きやすくなります。よって、昼間はできるだけベッドに座る事が良いとされ、このような行為をベッドの端に座る事から「端座位を取る」と言われてます。この時はベッドの高さを膝下の寸法に合わせ、足裏全面が床に着いている姿勢でお座り下さい。
※足が床に着いていないとベッドから落ちるなど骨折の原因にもなります。
2.車椅子やポータブルトイレからの乗り降り
ベッドから車椅子に移る際は、ベッドの高さが車椅子の座面よりもやや高く、逆に車椅子からベッドに移る際には、ベッドの高さは車椅子よりもやや低くする事で乗り降りをより安全に行うことができます。
また、他社の製品ですが、ベッドと車いすの間にスライディングボードや移乗専用シートを使うとより安全かつ楽に移乗できます。
※使い方を誤ると危険ですので、商品選び、使用方法については販売店の福祉用具専門相談員にお尋ね下さい。
自動ロック式ベッド用グリップ「ニーパロ」と「ニーパロ・パッド」は、上記の移乗行為をより安全に行うことを目的に開発されました。
3.伝い歩き
ベッドから降り、ベッドを伝い歩きする場合にも、その方に合った歩きやすい高さにすることでより安全に歩行ができます。
※昇降機能があるベッドは、在宅介護用ミオレットシリーズの昇降1モータータイプ、2モータータイプ、3モータータイプ、と施設用アルティレットシリーズの2モーター、3モータータイプとなります。
●様々なオプションと補助用具
使う人、介護する人に合わせ様々な補助用具があります。
介護ベッドには、上記以外にも、通気性が良く難燃、防ダニ加工のマットレスや床ずれ予防のマットレス、エアマット、車椅子などに移乗する際のリフトなど、様々な補助用具が各社から販売されており、適切な用具一つで大幅に生活状況を改善できることがあります。必ずケアマネージャー、福祉用具専門相談員や理学療法士など専門の方に相談し用具を選択して下さい。
同じ身体状況でも、介護する家族の状況や室内環境により福祉用具を変える必要もあり、適切な福祉用具の選択は自立への第一歩です。
※体に合っていない福祉用具は身体状況の悪化や事故の原因にもなります。
事故事例
介護ベッドは介護者にとっては無くてはならない福祉用具の一つですが、使い方を誤ると事故が発生します。取扱説明書をよく読んでお使い下さい。
ご注意!
取扱説明書に指定されているサイドレール、ベッド用グリップ以外の物は使用しないで下さい。同様に、他社製品と組合わせると「危険な隙間」が発生しレールとベッドの間で首を挟むなど重大事故の原因になります。
●多発している事故事例やヒヤリハット事例
※詳しくは医療介護ベッド安全普及協議会へ
レールとレール、レールとボードの間に首が挟まり窒息
レールに腕が入った状態で背上げを行い腕を骨折
体を動かせない人を背上げ状態にして長時間放置。体が横に倒れサイドレールで首を圧迫し呼吸困難
ベッド用グリップの固定を確認せず立ちあがり、転倒し腕を骨折
キャスターのロック忘れによる壁への追突
ベッドが低く、背上げ機能を使用せず介護者が腰痛へ
ベッドと壁の間に落ち込み、胸が圧迫され呼吸困難。壁に密着させるか50cm以上の空間を空けましょう。
レールやボードをまたいで乗り降りし、転倒、骨折。
座る位置が浅くお尻から落下
テーブルを杖代わりに歩行。その後転倒
テーブルを入れた状態でベッドを上げ、湯飲みが転倒
添い寝している人の腕や足がベッドの下にあり、ベッドを下げることで圧迫骨折